肩関節周囲炎(カタカンセツシュウイエン)
【Scapulohumeral periarthritis】
症状
肩関節周囲炎は一般的には四十肩や五十肩と呼ばれている疾患です。
主な症状としては、肩から上腕部にかけて痛みを感じたり、肩関節の動きに
制限をきたす疾患です。
急性期は炎症が起こり肩周辺に強い痛みを感じます。また、夜間痛むことがあり
そのせいで睡眠障害を来す場合もあります。慢性期になると安静にしている
場合には痛みは落ち着きますが、肩を動かそうとした時に痛みを感じたり、
関節の動きが制限されるようになります。
<主な症状>
肩や上腕部に痛みある。
腕が上がらない。
手がうまく使えなくなる。
肩関節の動きが悪い。
肩を動かす時に痛みを感じる。
肩関節の構造 【腱板・滑液包】
肩関節には肩の運動を作用するために様々な筋が存在しますが、その中でも
重要な働きをするのが腱板(Rotator Cuff:ローテーターカフ)と呼ばれる筋群です。
腱板は肩甲骨から上腕骨頚部に走る筋肉の集まりで、肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、
小円筋の4つで構成され、上腕骨頭表面でこれらの筋肉が一体となり腱の様に
なっていることもあり腱板と呼ばれています。
この腱板は肩甲骨と上腕骨をつなぐ役割や関節の安定性を保持する働きがあります。
また、肩には人体の中で最も大きい滑液包があります。滑液包とは滑膜で覆われた
滑液やリンパ液を含んだ平な袋状のもので、骨・軟骨と腱の骨付着部・皮膚の間に
存在します。
この滑液包は関節運動で起こる摩擦を軽減し、肩の広範囲な動きを円滑に
行うための潤滑装置としての働きをしています。
主な原因
多くは40代~50代の中年の方によく発生しますが、原因について実は詳しいことは
分かっていません。
関節を構成する骨や軟骨、靱帯、腱などが年齢と共に老化して、肩関節の周囲の
組織に炎症が起こるためと考えられています。
急性期の炎症が強い時期は痛みが強く、その後、炎症が落ち着いた慢性期には、
関節周囲の組織が硬く変性を来しているため、痛みはないが動きが制限される
といった状態になります。
治療方法
急性期の治療では基本的に保存的治療をおこないます。湿布や消炎鎮痛剤の処方、
関節内へのステロイド剤注射やヒアルロン酸注射を行い、炎症の軽減を図ります。
痛みが落ち着いてきた慢性期には、ホットパック等で温める温熱療法や、
関節可動域訓練や筋力トレーニングなどの運動療法を行います。
関節の拘縮や関節の動きが悪い場合には手術を行うこともあります。