転倒を恐れすぎると、再骨折のリスクが高まります。
◎疾患の概要
大腿骨頸部とは、人間で最大である太ももの骨(大腿骨)の先端にある球状の骨頭(骨盤のくぼみにはまっている)のした部分です。大腿骨頸部骨折の原因の多くは転倒によるものです。
高齢者施設や家庭内では、精神安定剤や睡眠薬などの服用による副作用から転倒し、骨折が起こる場合が多くあります。ただし、骨折したからこそ転倒することもあるため、転倒=骨折というケースばかりでないと理解することが必要です。
股関節の関節内包で骨折する内側骨折と、関節包外で骨折する外側骨折に分類されます。外側骨折は転子部の骨折です。
◎症状と経過
股関節あたりに痛みと腫れがあり、触ると熱感があることも珍しくありません。股関節に痛みが出なくても膝に痛みが出ることもあります。転子部骨折(関節包の外側)での骨折の場合は症状が激しくわかりやすいですが、頸部骨折(関節包の内側)の骨折では痛みが少ないこともあるため、骨折に気づかない場合もあります。
◎治療の知識
《大腿骨頸部骨折》(関節包内骨折)
【手術療法】関節包内は血流が乏しいため、頸部骨折は治りが非常に遅くなります。そのためスクリュー固定や人工骨頭を挿入する手術などが行われます。
*PFN術、CHS術、人工骨頭置換術
【保存療法】全身の状態が悪い場合や高齢という理由により保存療法が選択されることがあります。血流が乏しい部位であるため、骨がくっつかずに偽関節を呈したり、折れた骨が壊死してしまうこともあります。
◎リハビリテーションの実際
【リハビリプログラム】
【注意点】
人工骨頭の手術をしている方は、股関節を曲げて膝を内側に寄せたりすることは絶対にやってはいけません。例えば椅子に座り足を組む、患側を上にして股・膝を曲げ側臥位になるなどをすると骨頭が外れる危険性があります。