圧迫骨折は、イスやベッドに着座する瞬間に細心のケアを行うことが重要です
◎疾患の概要
高齢者では骨粗鬆症が起因となることが多く、椎体の強度を超えた力が加わることで起こります。胸椎や胸腰椎の移行部(第11胸椎~第2腰椎)で最も多くみられます。転倒で起こることがよく知られていますが、疲労骨折(衝撃が少しずつ蓄積されて何かの拍子に折れる)なので咳やくしゃみ、尻もちでも起こることがあります。
”円背”という背中が丸まっている状態も、脊椎圧迫骨折(多発性)であると考えてよいです。
◎症状と経過
骨折した周辺に強い痛みが発生し、寝返りができないほどの痛みも珍しくありません。ぎっくり腰のようにもみえますが、圧迫骨折による骨片が脊柱管を通る神経を圧迫して神経症状(放散痛・しびれ)や自律神経症状を起こす場合もあり、早期の受診が求められます。中には長い時間をかけて徐々に椎体が圧迫されることもあり痛みが伴わない場合もあります。
◎治療の知識
脊椎圧迫骨折の治療はベッドにおける臥床、安静にすることが基本です。安静の期間は、骨がある程度固まるまでの1ケ月を目安にしていますが、高齢者の場合、廃用症候群になってしまうと骨折が治っても寝たきりになることもあるため、どのタイミングで起こして良いのかの判断は様々です。
痛みは安静を続けていると自然に軽快します。しびれなどの神経症状がない場合は、体幹コルセットや腰椎軟性コルセットを用いて、脊椎が動かないように固定します。骨折が完全に固まるまでに2~3ケ月かかるため、圧迫骨折受傷から3ケ月が過ぎるまでは、高齢者にとって激しい運動は控えるべきです。
◎リハビリテーションの実際
前途したように脊椎圧迫骨折直後は安静を保つことが望ましく、リハビリは骨折の状態が良好になってから行います。筋力訓練は腹筋と背筋を中心に鍛えますが、痛みが生じるときは控えます。一番重要なことは”予防”で、座り方の指導をしっかり行うことです。
【リハビリプログラム】
*注意点
認知症の方は痛みが引くと起き上がってきますし、座ることが出来れば歩き始めます。その時は動きを制限するのではなくて一緒に付き添い合わせます。着座する瞬間だけ注意が必要です。「ドスン」と座らないように必ずサポートをしましょう。